夏は馬車に乗って

本の感想を書く、たまに、山に登った記録も書く。なんでもいいから気が向いたら書く。

『カロライナの殺人者』 デイヴィッド・スタウト

1944年のアメリカ南部で、黒人少年が白人少女を殺人した罪で死刑となった事件。190年代になってから、新聞記者として働いていた会社が倒産して、無職となったその少年の甥が、その事件の真相を探り始める。

その黒人少年は、殺人罪で死刑となったが当時14歳。陪審制度があるアメリカで、南部、犯人は黒人、という状況下で、適切な捜査とか裁判が実現できていたのか。恨みと差別的感情があったのではないか。たぶん、あったと思う。前半部分を読んでいる印象からも、登場する人の発言の節々にも感じられた。これが本当の本当かはわからないにせよ。

作品は二部構成で、第一部では少年が事件に巻き込まれて死刑にされるまで、後半はその甥が事件を調べることについて。第一部では1944年の南部アメリカがどんな空気なのかを感じる。黒人差別が根強く一部の人の間ではあったんだなあと感じる。全体を通して、重い空気感はあるけれど、いろいろと考えさせられた。第二部は何というか、主人公が頑張ってるな、以上という感じ。

 

 

 

カロライナの殺人者 (ミステリアス・プレス文庫)

カロライナの殺人者 (ミステリアス・プレス文庫)